嫉妬とはどんな感情?嫉妬したとき、されたときの対処法も!

自分より優れている人をうらやんだり、好きな人が興味のある相手や物をねたんだり……。生きていれば、嫉妬することは誰だってあること。嫉妬とは、一体どんな感情なのでしょうか。自分ではあまり認めたくないようなネガティブな感情ですが、誰でも持っていて、簡単に嫉妬のスイッチは入るもの。この記事では、心理カウンセラーの高見綾さんにお聞きして、嫉妬について調べてみました。

嫉妬とはどんな感情?ヤキモチとの違いは?



嫉妬とはどんな感情?ヤキモチとの違いは?

嫉妬とは、他人が自分より優れている、恵まれていると思ったときに感じる、「そねみ」や「ねたみ」といったネガティブな感情のことです。

また、自分が好意を持っている相手の興味や関心、愛情が自分以外の人や物に向いたときに起こるねたみの感情も嫉妬です。この嫉妬は、恋愛のシーンや友達との関係で起こることが多いです。

嫉妬と同じようによく使われるヤキモチは、嫉妬の感情の一部で、上で説明した2つ目の嫉妬が起こったときにヤキモチという言葉を使うことがよくあります。

嫉妬は行き過ぎるとドロドロしたり、攻撃的になったりするので、ヤキモチの方がまだ軽めで、可愛げのあるイメージです。

嫉妬をしてしまう心理とは



嫉妬をしてしまう心理とは

嫉妬をしてしまう人の性格の特徴やどのような心理が働くのかを見てみましょう。

自信がない・劣等感がある


自分に自信がなかったり、容姿や経済力、仕事の能力など、何か自分に劣等感やコンプレックスがあったりすると、嫉妬の感情が起こりやすいです。

自分より優れている人が現れると、「あの人はいいな」「あの人は恵まれているな」と嫉妬に心が奪われてしまいます。

プライドが高い・対抗心が強い


プライドが高い人は、自分より少しでも優れた人や恵まれている人が現れると、ねたましいという気持ちが起こります。プライドが傷つき、自分の立場を守りたいと考えるためです。

また、対抗心が強く、無意識に自分と周りの人の優劣を比べてしまう癖がある人も嫉妬しやすい傾向にあります。

独占欲が強い


独占欲が強いと、「自分以外の人とは仲良くしないでほしい」とか、「彼を独り占めしたい」という気持ちが生まれます。

友達に対しても、その友達の特別な存在でありたいと思うと、「他に特別な存在をつくらないでほしい」と思うこともあります。

自分が相手を独占したいのに、それができないときにねたましいという気持ちが出てきてしまうのです。

嫉妬心に男女による違いはあるの?



嫉妬心に男女による違いはあるの?

男性が感じる嫉妬心と女性が感じる嫉妬心に違いはあるのか、高見さんに聞いたところ、男女で嫉妬心に違いはあって、嫉妬したときの行動も男女で少し違うそうです。どんな違いがあるのか見てみましょう。

男性の嫉妬心の傾向と行動の特徴


男性は、自分の能力が劣っていると思われるのが嫌。ですので、自分より優れている人や能力がある人が近くにいると嫉妬することが多くなります。

男性が嫉妬したときの反応や行動は、ブスッとして何も言わなくなるとか、不機嫌になって冷たくなるなど態度に出ることが多いです。

表情や態度に出やすいので分かりやすいですが、本人はイライラしているのが嫉妬とは気が付いていない場合も結構あります。

女性の嫉妬心の傾向と行動の特徴


女性は、可愛いとか、恵まれているといった、女性としての美しさや魅力に反応する人が多い傾向にあります。

女性も嫉妬が態度に出る人もいますが、ため込む人の方が多いかもしれません。嫉妬の対象を観察したり、彼が浮気をしていそうなら調査をしたり……。ため込んで、自分の中でもんもんとしてしまう人が多いでしょう。

自分の嫉妬心を抑えたいときの対処法



自分の嫉妬心を抑えたいときの対処法

嫉妬の感情は誰だって持っています。自分が嫉妬をしてしまったときにそれを抑えるにはどうしたらよいのでしょうか。

付き合っているカップルの場合と、片思いなどの交際中以外の恋愛や仕事のケース別に、高見さんにアドバイスをしていただきました。

【付き合っているカップルの場合】


恋人からの愛情を受け取る
自分がこのまま恋人としていられるのだろうかという不安から、彼の周りにいる人や物に嫉妬してしまうので、相手から愛されているということを認識すること。

現時点で付き合っているわけだから、相手からは選ばれているのです。疑うことよりも、恋人からの愛情をしっかりと受け取るようにしましょう。

自分のことに集中する
嫉妬をすると、その対象のことばかり考えてしまいがちですが、気持ちのベクトルを他のことに向けられるといいですね。

仕事に集中してみたり、夢中になれる趣味をつくったり、友達との付き合いを増やしたり。自分のことに集中すると、嫉妬をしていた気持ちはいつの間にかどこかに行ってしまいます。

【片思いなどの恋愛/仕事の場合】


嫉妬を受け入れる
嫉妬心を抑え付けてはダメ。抑え付けると、反動でもっと大きくなったり、攻撃的になったりして外に出てきてしまうので、受け入れた方がいいでしょう。

嫉妬はネガティブな感情なので、嫉妬している自分を認めたくないものです。でも、「私は嫉妬しているんだ」と、まずは嫉妬していることに気付いて、きちんと認めることが最初のステップです。

気持ちを外に吐き出す
信頼していて話せる人がいるなら、話を聞いてもらって気持ちを吐き出すこと。自分だけだったら、ノートに思っていることを書きなぐってみることも効果的です。

他にも、1人でカラオケをしたり、運動をしたりと、ストレス発散方法があればため込まずに、自分の外に吐き出すようにしましょう。

「次は私の番!」と思う
「あの人は幸せなのに私は」とか、「あの人は持っているのに私にはない」と思わずに、発想を切り替えていきましょう。

「私なんか」とマイナス思考になるとチャンスを逃してしまうし、うまくいく可能性にもふたをしてしまいます。

嫉妬しているということは、自分の欲しいものが明確になったということ。「これが私の欲しいものだ」「次は私だ」と、「自分もうまくいっていいんだ」と自分に許可を出してあげるとよいと思います。

相手から嫉妬されたときの対処法



相手から嫉妬されたときの対処法

時には自分が嫉妬をされる場合もあるはず。相手から嫉妬されたときの対処法も聞いてみました。

【付き合っているカップルの場合】


安心させる
相手はあなたを失うことが怖いと思っているので、「そんなことはない」と安心させることが大事です。他の人に取られると思っているなら、「あなたが一番だから」「他の人には興味ない」と言葉にして伝えましょう。

それで安心してもえらえないようなら、スケジュールを教えたり、お互いの予定が分かるアプリを使ったりしてもいいかもしませんね。

相手の言い分を静かに聞く
嫉妬による束縛がひどかったり、嫉妬し過ぎて鬱憤(うっぷん)がたまっている場合は、反論をせず、相手の言い分をただ聞く時間をつくること。説得しようとしないことです。

相手が感情的になって怒っているときは、こちらが何を言っても火に油を注ぐだけなので、「そう思っているんだね」と吐き出させてあげると相手も落ち着きます。

愛情を伝えていく
嫉妬する人は自分に自信がないので、とにかく自信をつけさせることが一番です。

愛情を伝えていくことをサボらないこと。相手のコンプレックスを愛したり、ハグなどのスキンシップを多めに取ったりして、相手が「愛されているな」と感じられるようになると嫉妬心も治まってくると思います。

【片思いなどの恋愛/仕事の場合】


下手に出ない
嫉妬されると、「私なんて大したことない」と謙遜して下手に出る人が多いと思いますが、そうすると相手をもっと怒らせてしまいます。

相手は自分に対して一目置いているから嫉妬しているので、嫉妬している相手が「私なんて」となると、「それより惨めな私はどうなるんだ」となります。下手に出ず、淡々とした雰囲気でいましょう。

また、「大して苦労もせずうまくいっている」と思われると嫉妬されることも。そこで、「実は大変な思いをしている」「努力している」という部分を見せておくと、嫉妬を回避するのに役立ちます。

感謝の気持ちを示す
相手からうらやましがられたら、「おかげさまで」と周りの人に感謝の気持ちを伝えましょう。

「そんなことないです」と言うと、「うまくいっているのになんだ」と相手は思ってしまいます。「自分一人の力ではなく、周りのおかげでうまくいっている」ことを伝えると、相手からの嫉妬も減ると思います。

相手を承認する
「〇〇さんだってすごいじゃないですか」とか、「〇〇さんのこういうところを見習いたいです」と、相手のよいところを伝えてあげましょう。

人は褒められると悪い気はしないもの。これを上手に行っている人は、敵をつくらずうまく人と付き合っています。

ポイントとしては、本当に思っていることを伝えること。嫉妬する人はコンプレックスが強いので、うそや慰めには敏感です。心から思っていることを伝えるからこそ響くのです。

嫉妬は、人間の根本的な感情で、誰しも持っているものです。そして、自分より優れた人が現れたり、自分の立場が脅かされそうになったりすると、嫉妬はすぐに心の中に現れてきます。

嫉妬している気持ちが出てきたら、あるものだからしょうがないと受け入れて、解放していくことを覚えておきましょう。

取材・文/坂田圭永

【監修】
高見 綾さん
カウンセリングサービス所属。心理カウンセラー。ワークショップ講師。カウンセリングサービスの母体である神戸メンタルサービスにて臨床経験を積み、2013年からカウンセラーとして活動。人生の質を上げたいと願う”質上げ女子“のサポートをメインで行う。豊富な臨床経験があり、心の世界で学んだことを現実に生かすアプローチに高い評価を得ている。著書に、『ゆずらない力』(すばる舎)があり、最近は雑誌や新聞、ウェブなどで記事を執筆するなど精力的に活動中。
高見 綾さん公式サイト