乾杯の挨拶で結婚式の始まりを盛り上げたい!

「感動した」と思われる結婚式の乾杯挨拶とは? プロ監修の基本も

結婚式での乾杯の挨拶。新郎新婦の友人として、会社の上司として、はたまた親族として、乾杯の挨拶をお願いされる機会があるかもしれません。
任されるからには、一通りの基本は押さえて、ハレの席でのマナー違反はしたくないもの。そして、できれば新郎新婦や親族、会場の皆さまにも「良かったよ」「感動した!」と言われるような挨拶をしたいものですよね。
そこで、結婚式の乾杯の挨拶について、簡単な流れとスピーチの構成、気を付けるポイントなどを、マナーデザイナーの岩下宣子先生に聞いてみました。さらに、記憶に残る乾杯の挨拶、反対に残念だったもの、そして自分の結婚式での嬉しかった挨拶や理想の挨拶についてアンケートで質問。実際の結婚式での乾杯の挨拶についてのアレコレを教えてもらいました。

結婚式での乾杯の挨拶の簡単な流れ


結婚式での乾杯の挨拶の簡単な流れ

まず、どんな流れで乾杯のあいさつをすればいいのかを岩下先生に聞いてみました。

<乾杯のあいさつの流れ>
1.司会者の紹介で前に進む
司会者から紹介されたら、同じテーブルのゲストに一礼して立ち上がる。ゆっくりとスピーチをする場所まで進み、マイクの前に立ったら新郎新婦と会場のゲストに向けて一礼。
2.スピーチをする
スピーチ中、グラスは胸の下辺りに持つ。
3.ゲストに乾杯の準備を促す
スピーチが終わったら「では、乾杯の発声をさせていただきます」など合図を。司会者もこのタイミングでゲストに準備を促してくれることがほとんどなので、ゲストがグラスを持って立ち上がるまで少し待つ。
4.乾杯の発声
ゲストがタイミングをつかめるよう、「乾杯!」の発声の直前は一呼吸おいて。
乾杯の際はグラスを目の高さまで上げる。新郎新婦の方を向き、その後ゲストの方を向いてからグラスに口を付ける。
5.席に戻る
新郎新婦とゲストに向けて一礼して席に戻る。テーブルに戻ったら、同じテーブルのゲストに一礼するとより丁寧。

「乾杯の挨拶の前後にする一礼やマイクの前へ歩き出すタイミングなど、細かいことができていると、見ているゲストの印象もアップします。一つ一つの動きを落ち着いてゆっくり行い、堂々と見えるようにしましょう」(岩下先生)

結婚式での乾杯の挨拶の基本的な構成


乾杯の挨拶で話す内容も、大まかな構成は決まっているよう。岩下先生によると、スピーチの構成は以下の通り。

1.自己紹介
自分の名前と新郎新婦との関係について話す。
2.お祝いの言葉
新郎新婦とご両家の皆さまへお祝いの言葉を述べる。
(自己紹介とお祝いの言葉が逆になることもある)
3.新郎新婦とのエピソード
新郎新婦の人柄が感じられるエピソードを紹介する。
4.祝福のメッセージ
どんな夫婦になってほしいか応援の言葉を送る。
5.乾杯の音頭
明るく笑顔で「乾杯!」と乾杯の音頭をとる。

好印象を与えるコツは、まず爽やかで清潔な見た目になるよう身だしなみを整えること。乾杯の音頭をとる時は、背筋を伸ばして、全体を見渡しながら行うように。ふたりに話し掛ける時は、ふたりの方を見る。明るくはっきりと声を出し、うつむいたり、キョロキョロしたりしない。上手に話そうと思わず、心を込めて話すようにしましょう。そして、表情や動作は、「ニコニコ」「ハキハキ」「キビキビ」を心掛けると良いでしょう。

乾杯の挨拶で気を付けるポイント


岩下先生、乾杯の挨拶で気を付けるポイントや、スピーチで避けたいNGワードなどはありますか?

「乾杯前のスピーチは、長くならないように。短い方が好感を持ってもらえます。“乾杯”のタイミングがはっきりと分かるようにすることも大切です。乾杯の前に『それでは皆さま』や、『ご唱和をお願いします』などと言うと伝わりやすいと思います」(岩下先生)

結婚式は、縁起の悪い言葉を避けるのが一般的。悲しいことや別れを連想させる「忌み言葉」や、再婚を暗示する「重ね言葉」は、気にする人がいるので避けること。また、会社の宣伝や内輪ネタ、暴露話、悪口、下ネタなども、結婚式の挨拶にはふさわしくないので避けるようにしましょう。

記憶に残る結婚式での乾杯の挨拶!


記憶に残る結婚式での乾杯の挨拶!

20〜30代の女性に、ゲストとして出席した結婚式で盛り上がったり感動したりして、印象に残った乾杯の挨拶を聞いてみました。

●「友人代表のお友達が、ひと言言い終わるたび涙をこらえるのが伝わり、笑い、涙、笑い、涙の繰り返しのスピーチだったこと。新婦を思う気持ちがすごく伝わってきました」(23歳)
●「いとこの結婚式で、自分の父親がスピーチしました。その文章は母が考えたのですが、『新郎の○○君はとても明るく誠実な性格です。と、ここに書いてあります』と、父はアドリブでユーモアを交えながらスピーチし、会場の雰囲気が明るくなりました」(28歳)
●「友達の結婚式での上司のスピーチで。仕事がつらい時、洗面所でこっそり泣いている頑張り屋さんという話で感動。長すぎず、誰にでも分かりやすい内容で良かったです」(28歳)
●「姉の結婚式で、姉の幼なじみが今までのこと、これからの付き合いなどをスピーチしました。幼なじみの二人にしか分からない大切な思い出があったんだと伝わってきました」(24歳)
●「結婚式での友人のスピーチは声が震えていたけど、花嫁花婿を祝福する気持ちがよく伝わった。普段、口数の少ない友人が一生懸命になっている姿が素敵でした」(32歳)
●「高校の友人(新婦)の結婚式での新郎の親友のスピーチで。その親友は不登校だったようで、新郎が学校帰りに毎日家に来て『学校に行こう』とは言わず、たわいのない話をしに来てくれたと。その優しさのおかげで通えるようになったと感謝の気持ちを述べるスピーチに、新婦側の参列者も大号泣でした!」(27歳)

笑ってしまうようなエピソードがあったり、涙をそそる思い出話だったり、新郎新婦への気持ちが詰まったスピーチだったりと、思いが伝わる内容は聞いている人の心に響くようですね。

残念だった結婚式での乾杯の挨拶!


残念だった結婚式での乾杯の挨拶!

反対に、20〜30代の男女に、ゲストとして出席した結婚式の乾杯の挨拶で、残念だったエピソードも聞いたところ、以下のような内容が届きました。

●「挨拶が長い上に、つまらない」(37歳・男性)
●「カンペを見ながら話していて、声も小さく、祝福の気持ちが伝わってこなかった」(30歳・女性)
⇒一番多かったのが、乾杯の挨拶が長いこと。食事の直前なので余計にそう感じるのかもしれません。他にも、声が小さくて聞こえない、ボソボソと話す、「え〜」が頻繁にあり耳に障る、内容が分からないなどが多く見られました。

●「身内ネタで職場のテーブルだけが盛り上がっていて、よく分からなかった」(27歳・女性)
●「新婦の恩師が自分の会社の新聞の宣伝をし出して残念だった」(32歳・女性)
●「医師の新郎側のスピーチは、とりあえず医師を褒めたたえる、経歴を自慢する長いスピーチでつまらなかった」(33歳・女性)
●「新郎をばかにするような発言があったため、記念すべき日にそのような発言をしなくてもいいのに……と残念になった」(29歳・女性)
●「新郎の上司が、新郎のモテないエピソードを話していて、別に話す必要はないと感じた」(26歳・女性)
●「『3つの袋』の話が聞き飽きて、退屈だなと思ってしまった」(24歳・女性)
⇒内輪ネタや会社の宣伝、マイナスの発言、定番すぎるネタは、NGですね。挨拶の内容が決まったら、一度家族や仲の良い友人に聞いてもらい、客観的な意見をもらうのも一つの手です。

嬉しかった&理想の乾杯の挨拶!


嬉しかった&理想の乾杯の挨拶!

最後に、自分の結婚式の乾杯の挨拶で嬉しかった内容や、「こんなこと話してくれたら嬉しい!」という内容を質問!その内容は以下の通り。

●「自分の結婚式で上司が『彼は仕事でもプライベートでもコミットしてくれた』と言って場を笑わせてくれ、とても良い思い出になった」(28歳・男性)
●「友人たちが学生時代の楽しかった話やけんかした話をしてくれ、当時を思い出して懐かしかった」(26歳・女性)
●「自分と初めて会った印象を言ってもらい良かった。また妻のことも良く言ってくれて良かった」(35歳・男性)
●「本当に仲がいいからこそ分かるエピソードを話してほしい」(26歳・女性)
●「『実はこんな良い一面があります』と言われたら、よく見ていてくれたんだと感じられて嬉しい」(37歳・女性)
●「褒めすぎは恥ずかしいけど、多少は褒めてほしい」(25歳・女性)
●「そんなに褒めたりしなくてもいいので、みんなが笑ってくれるようなスピーチをしてくれると嬉しい」(24歳・女性)
●「スピーチする人が新郎新婦の普段とは違う一面や良さを話してくれると良いなと思います」(29歳・男性)

普段とは違う一面や良さ、仲の良さが感じられるエピソードは、なかなか聞けないこともあり、嬉しいようです。新郎新婦が嬉しい内容を言われることと、会場が和むことが、乾杯の挨拶を成功させるカギになりそうです。

大切な結婚式での乾杯の挨拶は緊張感があります。それでなくとも、大勢の人の前で話すことは緊張するものです。上がってしまうのは仕方のないこと。大切なのは、ある程度のルールにのっとった上で、新郎新婦へ「おめでとう」の気持ちを伝えることです。失礼のない乾杯の挨拶で、結婚式を盛り上げたいですね。

取材・文/坂田圭永

【監修】
岩下宣子さん
「現代礼法研究所」主宰。全日本作法会の内田宗輝氏、小笠原流小笠原清信氏の下でマナーを学び、1985年に現代礼法研究所を設立。マナーデザイナーとして、企業、学校、商工会議所、公共団体などでマナーの指導、研修、講演と執筆活動を行う。主な著書に『きちんと知っておきたい大人の冠婚葬祭マナー新辞典』(朝日新聞出版)、『DVDで身に付く美しい振る舞いとマナーが分かる本』(エクスナレッジ)、『図解社会人の基本敬語・話し方大全』(講談社)などがある。

【データ出典】
・ゼクシィユーザーアンケート
調査期間:2019/6/27〜2019/7/8
有効回答数:94人(女性)

・ご自身に関するアンケート
調査期間:2019/3/22〜2019/3/23
有効回答数:516人(男性・女性)
(インターネットによる20〜30代の男性と女性へのアンケート調査 調査機関:マクロミル)