生理前のイライラで彼氏に八つ当たり!原因はPMS?対処法は?

イライラして彼氏に八つ当たりしたり、特に理由がないのに気分が落ち込んだり……。生理前になるとなぜか心や体が不調になることはありませんか?不調の原因や、PMS(月経前症候群)について、よしかた産婦人科の上原萌美先生に伺いました。また、生理前のイライラや不安への対処法や、彼氏とけんかしないためにできることもお伝えします。

生理前にイライラするのはなぜ?



生理前にイライラするのはなぜ?

生理前にイライラするのは女性ホルモンの影響です。生理前に女性ホルモンの量が急に減りますが、その影響でセロトニンやGABAという心を安定させている脳内物質の働きが低下し、イライラしやすくなるのではないかといわれています。

女性には毎月の女性ホルモンの波があり、それに伴って心の調子にも波があるのです。


PMS(月経前症候群)とは?



PMS(月経前症候群)とは?

PMSとは生理前に起こる心や体の不調です。心の不調は「イライラする」「抑うつ状態になる」「情緒不安定になる」などで、体の不調は「乳房やおなかのはり」「頭痛」「腰痛」「むくみ」「だるさ」などがあります。

症状が始まる時期は生理の3〜10日前で、症状がなくなる時期は生理開始から1〜4日目ごろです。

PMSの中でも心の症状がかなり重い場合は、PMDD(月経前不快気分障害)の可能性があります。生理前になると攻撃的になったり、別人のように人格が変わったりすることで、人間関係に影響を及ぼすこともあります。


【体験談】生理のときに彼氏に八つ当たりしてしまう



【体験談】生理のときに彼氏に八つ当たりしてしまう

PMSはカップルの間にどんな影響があるのでしょうか。20〜30代の女性へのアンケート結果から、生理前・生理中に彼氏に八つ当たりしてしまった体験談を見てみましょう。

●普段は気にしないささいなことでも気になりすぎて、つい小言を言ってしまう(26歳)

●いつもなら許せるのに、物を片付けないことや時間のルーズさなどの、ちょっとしただらしない行動に腹が立つ(20歳)

●けんか腰で話してしまう(21歳)

●普段なら冷静に相手の話が聞けるのに聞くことができない(31歳)

生理前はささいなことで腹が立ったり、口調がきつくなったりと、イライラから彼氏に八つ当たりしてしまう女性は多いようです。普段なら気にしないことというところが、PMS特有の症状なのでしょう。

●家事を手伝わず、片付けもしないで寝ていた姿にイラついて泣いてしまった(28歳)

●ささいな言葉に反応しイライラして悲しくなり泣いてしまう(36歳)

中には、泣いてしまった経験がある女性もいました。PMSには「イライラする」以外にも、「抑うつ状態になる」「情緒不安定になる」といった症状もありますので、その心の不調が出てきてしまったのかもしれません。


生理前のイライラや落ち込みの対処法



生理前のイライラや落ち込みの対処法

生理前にイライラしてしまったり、落ち込んだりしてしまったときはどうすればよいのでしょう。

生理前は無理をしない


まずは症状を記録して自分のパターンを把握します。いつどんな症状があったか、2カ月間くらいの記録をすると、自分は生理の何日前くらいから調子が悪くなるのか、パターンがつかめてきます。

この調子が悪くなる期間は無理しないようにすると、楽に過ごせます。可能な範囲で、重い仕事や人と会う予定を減らしたり、重要な決定を先送りにしたりするなど工夫してみましょう。

定期的な運動をする


定期的な運動をすると、PMSが軽くなることが分かっています。しっかり体を動かす運動だけでなく、軽い運動でも効果があるので、30〜60分の有酸素運動を週に3回以上するとよいでしょう。

運動の種類は自分に合ったもので問題ないですが、ヨガやストレッチ、ウオーキング、ジョギング、階段昇降、水泳などがおすすめです。

健康的な食事を心掛ける


栄養バランスの良い食事を取りましょう。

食材としては、カツオ、青魚、サケなどの魚、厚揚げ、木綿豆腐などの大豆製品、野菜、玄米、麦ご飯などの未精製の穀類を取り入れるとよいでしょう。これらにはPMS改善に繋がるビタミンやミネラルが多く含まれています。

また、食べすぎに注意したいのは、お菓子やジュースなど血糖値を急に上げるもの、牛肉・豚肉の脂身など飽和脂肪酸が多いもの、塩分や脂肪分が多いものです。節酒、禁煙もできたらベターです。

良質な睡眠を取る


良い睡眠を取るためには、体内時計をずらさないことが大切です。

朝起きたら日光を浴び、朝食を取りましょう。寝る前はスマホやパソコンの使用を控え、夕食は遅い時間にならないようにしましょう。どうしても夕食が遅くなる日は、夕方にご飯やパンなどの炭水化物を取り、帰宅後にたんぱく質や野菜などのおかずを取ると、体内時計がずれにくくなります。

市販薬やサプリメントを試してみる


チェストベリー、γ(ガンマ)-トコフェロール等含有食品、漢方薬などの、市販薬やサプリメントを試してみてもよいと思います。

チェストベリーは第1類医薬品で薬局やドラッグストアで購入できます。イライラ、怒り、気分変調、頭痛、乳房のはりに効果があると報告されています。

γ(ガンマ)-トコフェロール等含有食品はサプリメントです。公式ホームページや一部の薬局・病院で購入できます。イライラ、怒り、気分の落ち込み、むくみ、おなかのはりに効果があると報告されています。

漢方薬の市販のものは第2類医薬品として薬局・ドラッグストアで購入できます。イライラにおすすめの漢方には2つあり、1つ目は加味逍遙散(かみしょうようさん)です。肩凝り、頭痛、のぼせ、イライラ、不安など、多様な心身の不調がある人に用いられます。

2つ目は抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)です。イライラしやすく、人と打ち解けるのが苦手な人に用いられます。漢方薬は病院に保険適応のものもありますので、婦人科などを受診し処方を受けるのがおすすめです。

婦人科に行く


上で挙げた対処法は、日常生活に支障がない、比較的PMSの症状が軽い人向けです。

日常生活に支障があるような症状が重い人は、婦人科に行きましょう。婦人科では、ピル、漢方薬、抗うつ薬などを処方することができ、薬でPMSが楽になることが多いので、我慢しないで気軽に受診しましょう。


彼氏とけんかしたくない!おすすめの過ごし方



彼氏とけんかしたくない!おすすめの過ごし方

イライラしたり、八つ当たりしたりして、彼氏とけんかになってしまうのはできれば避けたいことです。彼氏とけんかしないためにできることを紹介します。

無理して会わない


生理前に彼氏と会うと、いつもは気にならないことにイライラしてけんかになってしまうこともあるでしょう。生理前に無理して会わず、ひとり時間を楽しんでみてはいかがでしょうか。

彼氏と同居していて「ひとり時間を取りづらい」「急に会わなくなると距離ができそう」などの不安がある場合は、彼氏に事情を説明しておくとよいでしょう。

PMSを理解してもらう


自分のことを知ってもらうためにも、彼氏にPMSのことを話してみるとよいでしょう。男性はホルモンの急な変化がなくPMSのつらさを想像しにくいため、PMSに関する記事や本などを使って説明すると、理解してもらいやすいかもしれません。

また、生理前の調子が悪いときにしてほしいことを、彼氏に伝えておきましょう。例えば、「生理前は部屋が散らかっていると気になるから掃除をしてほしい」「生理前にイライラしていたら黙って話を聞いてほしい」など、具体的な方法を伝えておくと彼氏も分かりやすいはずです。


日頃からストレスや不安をためないことが大事!



日頃からストレスや不安をためないことが大事!

上原先生に日頃から大事にすべきことを聞いてみると、「ストレスが多いとPMSが重くなりやすいため、ストレスを軽くすることは大切です」とのこと。具体的な方法として、以下のことをアドバイスいただきました。

リラックスできる時間や楽しい時間をつくる
リラックスできる時間をつくりましょう。例えば、深呼吸、ストレッチ、入浴、アロマセラピー、音楽などがおすすめです。また、親しい人との会話、趣味を持つ、テレビや映画を見て笑う、泣くなどもよいでしょう。

信頼できる人に相談する
悩みがあるとき、信頼できる人に相談すると、楽になることがあります。ストレスが重い人は、精神科・心療内科を受診したり、カウンセリングを受けたりしましょう。

思ったことを書いて整理する
誰かに相談するのが難しいときは、悩みを紙に書いて整理してみましょう。

まずは、原因になった出来事、そのときの気持ち、心配事、何を根拠にそう考えたのかを紙に書きます。次に、これを他人から相談されたつもりになって、「こんな捉え方もできるよ」という別の考え方を書いてみます。

悩んでいるときは「自分はだめな人間だ」「誰も理解してくれない」「将来もだめだ」などと極端な考え方になりがちです。目線を変えてバランスの取れた捉え方ができると、気持ちが軽くなります。

何か行動を起こすと、心が軽くなることもあります。紙に解決策をできるだけ多くリストアップし、その中でできそうなものをやってみましょう。

PMSの症状はさまざまで個人差もありますが、毎月付き合っていかなければならないものです。ひとりで悩まずに彼氏に理解してもらったり、婦人科に行くなど誰かの力も借りたりしながら、自分を甘やかして少しでも快適に過ごせるようにしましょう!


取材・文/坂田圭永


【監修】
上原萌美さん
日本産婦人科学会専門医。横浜市立大学医学部卒業、横浜市立大学産婦人科入局後、神奈川県内の病院勤務を経て、よしかた産婦人科・綱島女性クリニックに勤務。
よしかた産婦人科公式サイト:https://www.yoshikata.or.jp/


【データ出典】
・ご自身に関するアンケート
調査期間:2022/12/8〜2022/12/10
有効回答数:310人※155人(男性)、155人(女性)
(インターネットによる20〜30代男性・女性へのアンケート調査 調査機関:マクロミル)